すが入った湯豆腐で出迎えた母

昨日の一件から（→過去記事） 

いつものように
今日の仕事帰りに
実家に寄っても

まだ
ムカッ腹が立っていた私は
すぐさま帰るつもりでいたのに

母は
あからさまな機嫌取りでしょう
湯豆腐を作って私を待っていました。


今日は
相変わらず
クソが付くほど仕事が忙しく

いつも実家に立ち寄る時間より
相当遅い時間になりました。

母は
その間
ずっと湯豆腐を火にかけていたようで

「おい
　湯豆腐でも食べて行かんか」
とそそくさと帰ろうとする私を引き留め

おぼつかない足で
火からおろしたばかりの
湯豆腐の入った両手鍋を
テーブルに運び

無理矢理にでも私に食べさせようと
付けだれのしょうが醤油も準備して

再び
「おい　食べよ」
と言って

母が
鍋のふたを開けたら

中に入っていた湯豆腐は
３倍ぐらいに膨れ上がり
どれもこれもすが入って
スポンジのようになっていました。

食べる前から
わかるようなパサパサの食感

それを見た母は
「あ～あ
　もうじき
　お前が帰ってくると思って
　３０分前から火にかけとったもんで
　こんな湯豆腐になってまった。

　あ～あ
　せっかくの豆腐が・・・」

そう言って
昨日の私への懺悔のしるしが
こんな形になってしまったことを嘆くのでした。

そして
昨日は
「薬なんかもういらん！」
と怒鳴っていた母なのに

今日は
妙に素直に
「お前
　明日休みなら
　〇〇医院へ連れてってくれ」
と言って

かかりつけ医の言うとおり
受診する意志を固めたのでした。



母よ

なぜ
この言葉が昨日言えぬ

いくら血のつながった親子でも
わけも分からず
怒鳴られる子供の身にもなってくれ


私はそんなあんたと
５０年以上も付き合っとるんや





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